第48回 兵庫県 アマ王位戦決勝(第1譜)

○主 催:神戸新聞社(地域活動局)
○後 援:日本将棋連盟
○協 賛:きしろ(特別協賛)
○協 賛:サントリー
○棋 戦:内藤國雄杯争奪
     第48回兵庫県アマ王位戦

○対局日:平成30年08月04日
○対局場:明石市民ホール(らぽす5階)
○持時間:各25分、あと一手30秒以内

 ▲先手:奥 田 崇 文
 △後手:浅 田 拓 史

 

アマ名人戦への県代表決定戦

 将棋の全日本アマチュア名人戦への兵庫県からの出場枠は、2名と定められています。

 うち1名は、春に行われる兵庫県アマ名人戦の勝者が、そして、もう1名は、今回の兵庫県アマ王位戦の勝者が出場枠を獲得します。

 つまり、この将棋は将棋のアマ名人戦への出場枠を賭けた兵庫県代表決定戦なのです。

 

 私自身、両対局者とも、面識はほとんどありません。

 先手の奥田さんは20代の好青年。昨年、兵庫県赤旗名人戦では決勝まで進みましたが、惜しくも敗れています。

 後手の浅田さんは30代の好青年。2005年にはアマ名人戦でも優勝している強豪です。

 

  (初手から)
   ▲7六歩   △8四歩
   ▲6八銀   △3四歩
   ▲6六歩   △6二銀
   ▲5六歩   △8五歩(第01図)

 

 

  (第01図から)
   ▲7七銀   △6四歩
   ▲2六歩   △3二銀
   ▲2五歩(第02図)

 

 さて、第01図は、後手が△8五歩と突いて、先手の動きを打診したところです。

 この時点では、まだ、先手が居飛車なのか、あるいは振り飛車なのかを明らかにしていません。

 そのため、後手△8五歩は、先手の作戦を尋ねた意味合いがあるのです。

 

 先手は、▲7七銀で、矢倉模様の将棋となりました。

 対して、後手は△6四歩で、腰掛け銀の含みを持たせた積極的に動きます。

 先手の▲2六歩に対する後手の△3二銀が、面白い一手です。

 

 斎藤慎太郎七段が、近年編み出した戦法で、所謂「矢倉左美濃急戦」です。確か、書籍も何冊か発行されています

 後手玉は左美濃に構え、角筋を通した状態で、飛角銀桂のコンビネーションで、先手の矢倉に襲いかかる戦法です。

 

 大変破壊力のある戦法で、確か2年位前の朝日名人戦の地区予選で、県代表クラスの方が学生強豪の方に、この戦法で吹っ飛ばされておりました。

 先手▲2五歩は、後手に対して「矢倉左美濃急戦」か、△3三銀と上がり「相矢倉」で戦うかを尋ねたわけです。

 

 

(第02図から)
          △4二王
   ▲7八金   △6三銀
   ▲5八金   △3一玉(第03図)

 

 先手▲2五歩の問いかけに対して、後手は、△4二王と上がり、「矢倉左美濃急戦」で指しますよと、意思表示したわけです。

 戦法の骨子が、先手は「矢倉」、後手は「左美濃」と決まりましたので、あとは淡々と手順が進められます。

 

 第03図の△3一玉で、後手玉の陣形は一応完成です。

 後手の「矢倉左美濃急戦」に対して、先手が、どのように対応するのかが、当面の見所となります。

 

 

(第03図から)
   ▲6七金右  △7四歩
   ▲7九角   △7三桂(第04図)

 

 先手は▲6七金右で、「金矢倉」を完成させました。

 一方、後手は△7四歩から、王と反対側の桂、つまり攻めの桂の活用を図ります。

 

 

 第04図を、どう見るか。

 後手は、王の守りを最小限にとどめ、先手玉頭への攻めに重きを置いた布陣を敷きました。

 一方、先手は後手からの急襲に備えるため「金矢倉」の築城を急ぎ、守りに重きを置いた布陣です。

 

 まだ、形勢を云々する局面ではありませんが、先手側の▲7九銀がどうも気になります。

 何か、立ち後れているような気がするのです。

 

 さて、ここで、先手奥田さんが指した次の一手を、一日ゆっくりと、お考えいただきましょう。

 私なら、▲4八銀と銀の活用を図りたいところですが、皆さんはどのようにお考えでしょうか。

 

 それでは、先手奥田さんが指した次の一手は、明日の第2譜で・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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